不動産の価格を知るための情報にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。まず、実際に取引が成立した価格である成約価格は最も実態に近い情報ですが、不動産は株式と違って非公開の相対取引が中心のため、データを入手すること自体が困難です。そこで参考にされるのが、不動産鑑定士が評価した鑑定価格や、オーナーがテナントを募集する際に提示する募集賃料です。ただし、鑑定価格は市場の急な変化に少し遅れて反映される傾向があり、募集賃料はあくまで希望価格なので、最終的な成約賃料とは差が出ることがあります。なぜこれらの情報が不完全なのかというと、不動産取引が非公開市場で行われるという根本的な特性があるためです。
賃料には大きく分けて2種類あります。新規賃料とは、これから新たに入居するテナントとの間で結ばれる契約の賃料です。一般的に公表される募集賃料や、最終的に合意に至った成約賃料は、この新規賃料に含まれます。一方、継続賃料とは、既に入居しているテナントが契約更新後などに支払っている賃料を指します。この二つを区別する理由は、市場の景気変動に対する反応速度が異なるからです。新規賃料は市況を敏感に反映して大きく変動しやすいのに対し、継続賃料は既存の契約がベースになるため、変動が比較的小さく安定的であるという特徴があります。
J-REIT(不動産投資信託)が投資する不動産の種類は、時代と共に多様化してきました。J-REIT市場が始まった当初は、比較的わかりやすく市場規模も大きいオフィスビルが投資の中心でした。しかし、市場が成熟し投資家のニーズが多様化するにつれて、商業施設、住宅、ホテルといった様々な種類の不動産へも投資対象が広がっていきました。近年では、インターネット通販の拡大を背景とした物流施設や、高齢化社会を反映したヘルスケア施設など、新しい社会の動きに対応した不動産も重要な投資対象となっています。この多様化の背景には、新たな収益機会を追求するとともに、特定の用途の不動産だけに投資するリスクを分散させるという目的があります。