オフィス市場の需給バランスを示す最重要指標で、「空室面積 ÷ オフィス貸室総面積」で計算されます。この指標を読み解く上で最も大切なのは、公表する民間調査会社によって算出基準が異なるという点です。例えば、まだテナントが入居中であっても退去予告が出されている区画を空室に含めるか、あるいは竣工前のビルを調査対象に含めるかなど、定義の違いによって数値が変動します。そのため、複数のデータを比較する際は、それぞれの指標がどのような基準で算出されているかを理解することが不可欠です。
賃料には、既に入居しているテナントが支払っている「継続賃料」と、これから新たに入居するテナントが支払う「新規賃料」の2種類が存在します。この2つを区別する理由は、価格の変動の仕方が異なるからです。新規賃料は景気や需給動向を敏感に反映して大きく変動しますが、継続賃料は契約更新のタイミングで交渉されるため、一度に全てのテナントの賃料が変わるわけではなく、変動幅も新規賃料ほど大きくならない傾向があります。この性質の違いが、オフィス賃料市場全体の動きを理解する鍵となります。
新規賃料はさらに、ビルオーナーがテナントを募集する際に提示する「募集賃料」と、実際に交渉を経て契約に至った「成約賃料」に分かれます。一般的に広く公表されているのはデータ収集が容易な募集賃料ですが、これには注意が必要です。例えば、賃料の高いビルが満室になると募集が停止され、集計対象から外れるため、市場が好調でも平均募集賃料が下がってしまうといった現象が起きる可能性があります。成約賃料こそが実態をより正確に反映しますが、データ入手が困難なため、両者の特性を理解した上で市場を分析する必要があります。
オフィス市場全体の供給量を示す指標で、賃貸可能なオフィスビルの総床面積を指します。この指標の重要な点は、その「構成」にあります。例えば東京23区では、バブル期に建設された延床面積5,000坪未満の中小規模ビルが数多く存在しており、ストック全体の大きな割合を占めています。新規供給が市場に与える影響を考える際は、供給される面積だけでなく、既存ストック全体の規模や築年数、規模の構成と比較して、そのインパクトを評価することが大切です。
オフィス需要を分析するための一つの指標で、「賃貸借契約面積 ÷ テナントの利用人数」で算出されます。この指標は、オフィスワーカー数と並んで、オフィス需要の総量を決定する重要な要素です。コロナ禍を経てテレワークの普及で面積が減少するとの見方もあれば、逆にソーシャルディスタンスの確保や快適な執務環境整備のために面積が増加するとの見方もあります。テキストによれば、これらの増減要因が相殺し合い、結果として過去から現在までおおむね4坪前後で安定的に推移しているとされています。