投資を行う際に、その対象となる不動産の価値やリスクを多角的に調査する手続きのことです。単に物件の良し悪しを見るだけでなく、法的な権利関係、物理的な状態、経済的な収益性などを専門家が調査し、投資判断に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる要素を洗い出します。なぜこの手続きが重要かというと、かつての日本では売主が「隠れた瑕疵」に対する責任を負うのが一般的でしたが、不動産証券化が普及し海外投資家が増える中で、投資家自身が責任をもってリスクを把握する「自己責任の原則」が主流となったためです。デューデリジェンスは、安心して投資を行うための「健康診断」のようなものと言えます。
建てられた当時は適法だったものの、その後の法改正などによって現在の法律の基準に適合しなくなった建物のことです。「違法建築物」とは異なり、そのまま使い続けることは認められていますが、注意が必要です。なぜなら、将来建て替えを行う際には、現在の法律(建蔽率や容積率など)に従う必要があるため、同じ規模の建物を建てられず、収益性が低下する可能性があるからです。デューデリジェンスでは、この将来的な価値への影響を評価するために、既存不適格であるかどうかを重要なポイントとして調査します。
その不動産の「戸籍」のようなもので、法務局で管理されている公式な記録です。誰でも手数料を払えば取得でき、所有者の許可は不要です。主に3つの部分から構成されます。「表題部」には土地の所在や面積、建物の種類や構造といった物理的な情報が、「甲区」には現在の所有者や過去の所有権の移転経緯が、「乙区」には抵当権や地上権といった所有権以外の権利関係が記載されています。デューデリジェンスの第一歩として、この書類で不動産の基本的な権利関係を正確に把握することが極めて重要です。
他人の土地を借りて建物を建てる権利のことです。借地権には大きく分けて「地上権」と「賃借権」の2種類があり、性質が大きく異なります。地上権は土地を直接支配できる強力な権利(物権)で、土地所有者の承諾なしに譲渡や転貸が可能です。一方、賃借権は貸主に対して特定の行為を請求できる権利(債権)であり、譲渡や転貸には原則として貸主の承諾が必要です。この権利の強さの違いは、不動産の安定性や売買のしやすさに直結するため、デューデリジェンスではどちらの権利なのかを明確に区別することが投資価値を判断する上で非常に重要となります。
将来の不確実性を考慮して投資判断を行うための分析手法です。「シナリオ分析」は、景気動向や市場環境について「楽観的な場合」「標準的な場合」「悲観的な場合」といった複数のシナリオを設定し、それぞれの場合で投資の成果がどうなるかを予測します。一方、「感度分析」は、そのシナリオの中で、例えば「賃料が1%変動したら、全体の収益はいくら変わるか」というように、特定の要素(変数)が変化したときの結果への影響度合いを分析する手法です。これらを用いることで、投資に潜むリスクの大きさや、特に注意すべき要因が何かを具体的に把握することができます。