コスト管理とは、建物の運営にかかる費用を適切に管理することです。ただし、これは単なる経費削減を意味するわけではありません。なぜなら、過度なコストカットは清掃や警備、設備メンテナンスといったサービスの質(品質)の低下を招き、結果としてテナントの不満や退去につながり、賃料収入の減少という形で不動産の収益性を損なう可能性があるからです。そのため、プロパティマネジャーには、品質を維持・向上させながら無駄をなくし、費用対効果を最大化するという、コストと品質のバランスをとった運営が求められます。
PMバジェットは、プロパティマネジャーが年度ごとに作成する建物の運営予算計画書のことです。過去の実績や今後の修繕計画などを基に、収入と支出の見込みを立てます。一方、PMレポートは、その予算計画(PMバジェット)に対して、月次などの単位で実績がどうだったかを報告する実績報告書です。収入、支出、入居率、未収金の状況などが記載されます。これらは、アセットマネジャーやビルオーナーが不動産の経営状況を正確に把握し、次の戦略を立てるための根幹となる重要な報告ツールです。
建物内のすべてのテナントが快適かつ安全に過ごせるように、共用部の使い方やゴミの分別、防災に関するルールなどを定めたものです。これは、個々のテナントの都合だけでなく、ビル全体の秩序を維持するために存在します。プロパティマネジャーは、入居時にこの規則をテナントにしっかり説明し、入居期間中も遵守されるように指導する役割を担います。いわば、ビルという共同生活空間の「暮らしのルールブック」です。
テナントが入居時に行う内装工事や、退去時に行う原状回復工事に関する、ビル側(貸主)が定めた技術的な仕様やルールブックのことです。建物の構造に影響を与えたり、他のテナントに迷惑をかけたり、防災上の問題を引き起こしたりする工事が行われないよう、事前にルールを明確にすることで、建物という資産の価値を守ることを目的としています。工事の責任区分(A・B・C工事)もこの中で定められることが多く、トラブルを未然に防ぐ重要な役割を果たします。
テナントの入居工事などにおいて、誰が費用を負担し、誰が業者を手配するのかを明確にするための分類です。A工事は、建物の基本性能に関わる部分で、ビルオーナーの費用と責任で実施します。B工事は、テナントの要望で標準仕様を変更する工事で、費用はテナント負担ですが、工事業者はビルオーナーが指定します。これは、建物全体に関わる設備などへの影響を管理するためです。C工事は、テナントが内装など専有部内で行う工事で、費用も業者手配もテナントの責任で行います。この区分を明確にすることで、工事における責任の所在をはっきりさせ、トラブルを防ぎます。