市場全体の値動きに連動して変動するリスクのことです。例えば、景気全体の動向や金利変動のように、市場に参加しているほぼ全ての資産に影響を与える要因によって生じます。このリスクは、どれだけ多くの銘柄に分散投資をしても、原理的に取り除くことができないため、「分散不可能なリスク」とも呼ばれます。CAPMでは、投資家はこの避けることのできないリスクを負担する対価として、リターンを得ると考えられています。
特定の企業や業界に固有の要因によって生じるリスクのことです。例えば、ある企業の不祥事や工場の火災といったニュースは、その企業の株価には大きな影響を与えますが、市場全体にはほとんど影響しません。この種のリスクは、互いに無関係な多数の銘柄に分散投資することで、影響を打ち消し合い、ほぼゼロにまで低減させることが可能です。そのため、「分散可能なリスク」とも呼ばれます。CAPMの考え方では、このリスクは投資家自身の努力で除去できるため、このリスクを負っても追加的なリターンは期待できないとされます。
ある資産に投資するために、投資家が最低限要求するリターン(期待リターン)が、その資産のシステマティックリスク(市場リスク)の大きさによって決まる、という考え方を示す理論モデルです。具体的には、ある資産の期待リターンは、リスクがゼロでも得られる「安全資産のリターン」を基礎として、その資産が持つシステマティックリスクの大きさに応じた「上乗せリターン(リスクプレミアム)」を加えることで計算されます。分散投資で消せるリスクは評価せず、市場全体と連動する避けられないリスクだけをリターンの源泉と考える点が最大の特徴です。
ある資産の値動きが、市場全体の値動きに対してどのくらい敏感に反応するかを示す指標です。CAPMにおいては、システマティックリスクの大きさを測る尺度として用いられます。ベータが1であれば市場全体と全く同じように動き、1より大きければ市場全体よりも大きく変動し、1より小さければ市場全体よりも小さく変動する傾向があることを意味します。もしベータがマイナスであれば、市場全体とは逆の方向に動く傾向があることを示します。
リスクがゼロの安全資産と、複数のリスク資産を組み合わせた最も効率的なポートフォリオ(市場ポートフォリオ)を結んだ直線のことです。この直線上の点は、あるリスク水準(標準偏差)で得られる最も高いリターンを示す組み合わせを表しており、安全資産が存在する場合の新たな「効率的フロンティア」となります。投資家は、自身のリスク許容度に応じて、この直線上で安全資産と市場ポートフォリオの保有比率を調整することで、最適な投資を行います。